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世界樹の迷宮�� プレイ日記
ガツッッッキイイィィン
「おおぉ、耳痛いー手え痺れるー。」
ナマズの胴体に打ち付けた刀身が大きく震えた。
そのままパルティータはバックステップで大きく距離を取る。
そして再び走り出そうとするが、そこでナマズが突然じたばたと暴れ出し、
周囲に泥の塊を飛ばしてきた。
パルティータは慌てて盾を構えようとするが、
ばしゃああっ
泥まみれになるかと思われたパルティータの前にフローライトが立ちはだかり、ナマズの攻撃を代わりに受け止めた。
「それにしても底が見えない体力ね。」
パルティータを庇ったフローライトは、盾に付いた泥を振り落としながらつぶやく。
「そしてさっきから泥まみれ…。帰ったら真っ先にお風呂に入らないと。」
彼女はもう新品の防具の色が完全に見えなくなるほど、泥を浴びていた。
鎧の中は、汗と泥と水で外見よりも更に大変なことになっている。
「だめー私が先に入るのー。」
その姿を見てなお、高らかに主張するパルティータ。
フローライトはこめかみを押さえつつ、
「パルティータさん。さっきから貴女に飛んでくる泥を全部受けてる私に
何か言うことはない？」
「ありがとう！でもお風呂は譲らないから！」
「あらちょっと手が。」
「あああああ私のたからもののおぬこさまの写真がああああ」
戦闘開始から、既に1時間が経過していた。
Farginの面々は湿地帯の中で泥にまみれつつ、次々と繰り出される泥、髭、そして尻尾を使った攻撃をかわし、受け止め、更にはその隙を見て反撃に転じる。
しかしナマズは一向に倒れる気配がない。それどころか、うるさいハエを追い払うかのように適当な攻撃を繰り返しているだけ。そうであるのに、その一撃は重く、彼らはみな不安を感じていた。体力勝負ではジリ貧である。
「みんな、ちょっと動かないで。」
泥攻撃で前衛が受けたダメージを回復させようと、はなみが気孔を使おうとする。
が、そこへ計ったかのようにはなみをめがけて髭が飛んできた。
目を閉じて集中しているはなみは、それに気付かない。前衛の全員は息を呑んだ。
ピシ、バリバリバリバリィ
はなみに髭が当たるかと思われた寸前、アイゼットの星術が振るわれた髭に襲い掛かった。
「☆！？！？」
電撃により髭をやられたナマズは、たまらずのたうち始める。
「あ。そうか髭通して撃てば本体まで届くんだー。さすが雷術。」
「アイゼットさん、ナイスアシスト。」
回復術を終えたはなみがアイゼットとハイタッチ。
先ほどまで、アイゼットの星術は本体に届く前に減衰してしまい、なかなか有効打を与えられずにいたのだ。
「よーしじゃあアイちゃん本気出しちゃうぞー。って、えええええ」
ドプン！
突如ナマズはその巨体を泥水の中に埋めた。
「ぬお、…逃げた…のか？」
エンデバインが、恐る恐るナマズが潜った位置に近づく。
「…！ いや、全員気を付けろ！」
辺りの殺気は消えていない。むしろ先ほどよりも濃密にパーティーを包み込んでいる。ナマズは彼らを、『命の危険がある敵』だと認識したようだ。
「気を付けろと言っても…。」
「何をどうすればいいのよぅー。…って、おをおぉおおお！？」
ゴガガガガガガガガガガ
はなみとパルティータがエンデバインの言葉に戸惑っていると、突然、彼らが立っている地面が激しく揺れだした。
「うおおおおマジかあああ、ナマズが地震起こすとか
迷信じゃなかったのかよおおおおおお！」
「そんな事を言っている場合じゃない。」
「私こんな揺れてる地震に遭ったの初めてー！」
「私も初めてー！きゃあああ」
「パルちゃんもアイゼットさんもふざけない！」
そして、ふっと太陽が翳ったかと思い、はなみが上を見上げてみれば、
「えええええ落ちてくるよおおおおおおおお！」
いつの間にか泥水から飛び出したナマズが、ボディプレスを仕掛けてきた。
どばっしゃああああああああ
咄嗟に全員が身構えたものの、その巨体を防げるはずもなく、まともに食らってしまう。
「うあ…もう無理いいい」
アイゼットは泥水の中に倒れてしまった。他のメンバーも立ってはいるものの、虫の息である。
それを見て、フローライトは静かに決断した。
「……、私が盾になる。その間にはなみは体勢を立て直して。」
「でも、ホタルさんまで倒れたら…」
はなみが止めるが、それを無視してフローライトは一歩前に出た。
そして盾を掲げ、宣言する。
「私の仕事は守ること。どんなに窮地に陥ろうと、私が立っていれば無問題。
そんな期待を背負っている以上、ここから先は通せない。──通さない！」
ナマズは先ほどのように泥水に潜らず、弱ったメンバーを片付けようと、隙をうかがっていた。そこへ、一人で前に出てきた人間が居た。
人間は、多人数を一度に相手にするより、一人ずつ相手をした方が簡単である。
そのことをナマズは知っている。
だからナマズは標的を定めた。
ガツッ…ガッガガッ
フローライトめがけて集中的に髭の鞭が振るわれる。
髭の先端は音速を超え、その一撃一撃は生身に当たれば致命傷は必至。
「人は城、人は石垣、人は堀…」
しかし、頑強な盾はそれを尽く弾き、倒れることない意思は大地を踏みしめる。
「ならば私は…！」
顔は泥にまみれ、吐く息は荒く、しかし瞳は決して揺るがず、絶対に通さないという意志を盾にして、彼女は仲間の前に立つ。
「移動要塞だ！！」
まさにその時、彼女は要塞として、外敵から仲間を守っていた。
ナマズは焦りを感じていた。
人間は、一個では弱い。それはいくつもの経験から学んでいる。
しかし、目の前の人間は倒れない。本来であれば、髭で２、３回叩くだけで倒れてしまうはずなのに。既に１０を超える応酬の中、倒れる気配を微塵も感じさせない。
おかしい。
もしかして、自分はとんでもない人間を相手にしているのではないか。
ナマズは焦りを通り越して、恐怖すら覚えた。
そしてナマズは今更になって気付く。盾を持っている人間の両脇に、更に二つの人影が立っていたのだ。
人間は、こいつだけではなかった──
バリバリバリバリ
「☆？！？★！」
髭がまたさっきの電撃によって焼かれた。
頭が混乱する。一瞬目の前が見えなくなる。全身が痺れる中、ナマズは決断した。
一対多では不利だ。ここは一度逃げるしかない！
ナマズは全身を振って体勢を立て直す。
だが再び状況を認識したとき、目の前に居たのは、
「うらああああああああああ！」
「てやああああああああああ！」
エンデバインとパルティータの二人だった。
ガシュッビシッ
ナマズの髭が切断された。
「よし、余計なものは切った！ 一気に行くよ！」
パルティータはそう号令をかけると、再びナマズに向かって突撃する。しかし、
ドプン！
再びナマズは泥水の中に体を埋めてしまった。
「くそッ！ またか！」
エンデバインは吐き捨てるも、こうなってしまってはどうしようもない。
「…………？」
しかし、いつまで経っても地震が起こる気配はなかった。
「あれ？もしかして今度こそ逃げた？」
そう言ってアイゼットが構えを解く。
先ほどまでの殺気が嘘のように消えていた。
「うえええ逃げられたのかぁ…！」
エンデバインは、ばしゃっと泥水の中に座り込む。
「でも、全員生きていただけいいじゃない。」
「いやまぁ確かにそうなんだけどさぁ。」
フローライトの言葉に納得ができないエンデバインは、手元にあった石を放り投げる。
「ねーねーこの髭何かすごいよー、まだ帯電してる。びりびりー。」
「びりびりー。うちの電撃のせいかな？それともこの髭って、
電気を溜めたりできるのかな。」
パルティータが切り落とした髭の近くでアイゼットと遊んでいる。
それを見ながらエンデバインは口の中でぶつぶつと文句を並べるが、
しばらくして立ち上がり、
「しょうがない、とりあえず元老院に報告に行くか。」
そう言ってアリアドネの糸を取り出すのだった。
後日談。
元老院の出したナマズの討伐ミッションだが、実質はナマズの髭の切断の時点でミッションは達成らしい。
何故かというと、ナマズはその髭の力で地震を起こすことがわかっているからだ。また、髭が切断されたナマズは、再び髭が生えるまで、樹海のどこかに身を隠し、一ヶ月は出てこないとのこと。
もし討伐に成功した場合でも、一ヶ月もすれば違う個体が同じ場所に縄張りを構えるため、討伐、撃退のどちらでも結果は変わらないということを聞いた。
また、過去にたった一人でナマズに立ち向かったという人間の話では、髭を切断されてもナマズは逃げなかったという。
こうしてギルドFarginは、第二層へ進む許可を元老院からもらったのだった。
[報告]
●モンスター
湿地にひしめく者
魔魚ナルメル
●アイテム
こじ開ける刺針
星空の蓑
群青のトサカ
魔魚の電気髭
葉銅鉱
「おおぉ、耳痛いー手え痺れるー。」
ナマズの胴体に打ち付けた刀身が大きく震えた。
そのままパルティータはバックステップで大きく距離を取る。
そして再び走り出そうとするが、そこでナマズが突然じたばたと暴れ出し、
周囲に泥の塊を飛ばしてきた。
パルティータは慌てて盾を構えようとするが、
ばしゃああっ
泥まみれになるかと思われたパルティータの前にフローライトが立ちはだかり、ナマズの攻撃を代わりに受け止めた。
「それにしても底が見えない体力ね。」
パルティータを庇ったフローライトは、盾に付いた泥を振り落としながらつぶやく。
「そしてさっきから泥まみれ…。帰ったら真っ先にお風呂に入らないと。」
彼女はもう新品の防具の色が完全に見えなくなるほど、泥を浴びていた。
鎧の中は、汗と泥と水で外見よりも更に大変なことになっている。
「だめー私が先に入るのー。」
その姿を見てなお、高らかに主張するパルティータ。
フローライトはこめかみを押さえつつ、
「パルティータさん。さっきから貴女に飛んでくる泥を全部受けてる私に
何か言うことはない？」
「ありがとう！でもお風呂は譲らないから！」
「あらちょっと手が。」
「あああああ私のたからもののおぬこさまの写真がああああ」
戦闘開始から、既に1時間が経過していた。
Farginの面々は湿地帯の中で泥にまみれつつ、次々と繰り出される泥、髭、そして尻尾を使った攻撃をかわし、受け止め、更にはその隙を見て反撃に転じる。
しかしナマズは一向に倒れる気配がない。それどころか、うるさいハエを追い払うかのように適当な攻撃を繰り返しているだけ。そうであるのに、その一撃は重く、彼らはみな不安を感じていた。体力勝負ではジリ貧である。
「みんな、ちょっと動かないで。」
泥攻撃で前衛が受けたダメージを回復させようと、はなみが気孔を使おうとする。
が、そこへ計ったかのようにはなみをめがけて髭が飛んできた。
目を閉じて集中しているはなみは、それに気付かない。前衛の全員は息を呑んだ。
ピシ、バリバリバリバリィ
はなみに髭が当たるかと思われた寸前、アイゼットの星術が振るわれた髭に襲い掛かった。
「☆！？！？」
電撃により髭をやられたナマズは、たまらずのたうち始める。
「あ。そうか髭通して撃てば本体まで届くんだー。さすが雷術。」
「アイゼットさん、ナイスアシスト。」
回復術を終えたはなみがアイゼットとハイタッチ。
先ほどまで、アイゼットの星術は本体に届く前に減衰してしまい、なかなか有効打を与えられずにいたのだ。
「よーしじゃあアイちゃん本気出しちゃうぞー。って、えええええ」
ドプン！
突如ナマズはその巨体を泥水の中に埋めた。
「ぬお、…逃げた…のか？」
エンデバインが、恐る恐るナマズが潜った位置に近づく。
「…！ いや、全員気を付けろ！」
辺りの殺気は消えていない。むしろ先ほどよりも濃密にパーティーを包み込んでいる。ナマズは彼らを、『命の危険がある敵』だと認識したようだ。
「気を付けろと言っても…。」
「何をどうすればいいのよぅー。…って、おをおぉおおお！？」
ゴガガガガガガガガガガ
はなみとパルティータがエンデバインの言葉に戸惑っていると、突然、彼らが立っている地面が激しく揺れだした。
「うおおおおマジかあああ、ナマズが地震起こすとか
迷信じゃなかったのかよおおおおおお！」
「そんな事を言っている場合じゃない。」
「私こんな揺れてる地震に遭ったの初めてー！」
「私も初めてー！きゃあああ」
「パルちゃんもアイゼットさんもふざけない！」
そして、ふっと太陽が翳ったかと思い、はなみが上を見上げてみれば、
「えええええ落ちてくるよおおおおおおおお！」
いつの間にか泥水から飛び出したナマズが、ボディプレスを仕掛けてきた。
どばっしゃああああああああ
咄嗟に全員が身構えたものの、その巨体を防げるはずもなく、まともに食らってしまう。
「うあ…もう無理いいい」
アイゼットは泥水の中に倒れてしまった。他のメンバーも立ってはいるものの、虫の息である。
それを見て、フローライトは静かに決断した。
「……、私が盾になる。その間にはなみは体勢を立て直して。」
「でも、ホタルさんまで倒れたら…」
はなみが止めるが、それを無視してフローライトは一歩前に出た。
そして盾を掲げ、宣言する。
「私の仕事は守ること。どんなに窮地に陥ろうと、私が立っていれば無問題。
そんな期待を背負っている以上、ここから先は通せない。──通さない！」
ナマズは先ほどのように泥水に潜らず、弱ったメンバーを片付けようと、隙をうかがっていた。そこへ、一人で前に出てきた人間が居た。
人間は、多人数を一度に相手にするより、一人ずつ相手をした方が簡単である。
そのことをナマズは知っている。
だからナマズは標的を定めた。
ガツッ…ガッガガッ
フローライトめがけて集中的に髭の鞭が振るわれる。
髭の先端は音速を超え、その一撃一撃は生身に当たれば致命傷は必至。
「人は城、人は石垣、人は堀…」
しかし、頑強な盾はそれを尽く弾き、倒れることない意思は大地を踏みしめる。
「ならば私は…！」
顔は泥にまみれ、吐く息は荒く、しかし瞳は決して揺るがず、絶対に通さないという意志を盾にして、彼女は仲間の前に立つ。
「移動要塞だ！！」
まさにその時、彼女は要塞として、外敵から仲間を守っていた。
ナマズは焦りを感じていた。
人間は、一個では弱い。それはいくつもの経験から学んでいる。
しかし、目の前の人間は倒れない。本来であれば、髭で２、３回叩くだけで倒れてしまうはずなのに。既に１０を超える応酬の中、倒れる気配を微塵も感じさせない。
おかしい。
もしかして、自分はとんでもない人間を相手にしているのではないか。
ナマズは焦りを通り越して、恐怖すら覚えた。
そしてナマズは今更になって気付く。盾を持っている人間の両脇に、更に二つの人影が立っていたのだ。
人間は、こいつだけではなかった──
バリバリバリバリ
「☆？！？★！」
髭がまたさっきの電撃によって焼かれた。
頭が混乱する。一瞬目の前が見えなくなる。全身が痺れる中、ナマズは決断した。
一対多では不利だ。ここは一度逃げるしかない！
ナマズは全身を振って体勢を立て直す。
だが再び状況を認識したとき、目の前に居たのは、
「うらああああああああああ！」
「てやああああああああああ！」
エンデバインとパルティータの二人だった。
ガシュッビシッ
ナマズの髭が切断された。
「よし、余計なものは切った！ 一気に行くよ！」
パルティータはそう号令をかけると、再びナマズに向かって突撃する。しかし、
ドプン！
再びナマズは泥水の中に体を埋めてしまった。
「くそッ！ またか！」
エンデバインは吐き捨てるも、こうなってしまってはどうしようもない。
「…………？」
しかし、いつまで経っても地震が起こる気配はなかった。
「あれ？もしかして今度こそ逃げた？」
そう言ってアイゼットが構えを解く。
先ほどまでの殺気が嘘のように消えていた。
「うえええ逃げられたのかぁ…！」
エンデバインは、ばしゃっと泥水の中に座り込む。
「でも、全員生きていただけいいじゃない。」
「いやまぁ確かにそうなんだけどさぁ。」
フローライトの言葉に納得ができないエンデバインは、手元にあった石を放り投げる。
「ねーねーこの髭何かすごいよー、まだ帯電してる。びりびりー。」
「びりびりー。うちの電撃のせいかな？それともこの髭って、
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パルティータが切り落とした髭の近くでアイゼットと遊んでいる。
それを見ながらエンデバインは口の中でぶつぶつと文句を並べるが、
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そう言ってアリアドネの糸を取り出すのだった。
後日談。
元老院の出したナマズの討伐ミッションだが、実質はナマズの髭の切断の時点でミッションは達成らしい。
何故かというと、ナマズはその髭の力で地震を起こすことがわかっているからだ。また、髭が切断されたナマズは、再び髭が生えるまで、樹海のどこかに身を隠し、一ヶ月は出てこないとのこと。
もし討伐に成功した場合でも、一ヶ月もすれば違う個体が同じ場所に縄張りを構えるため、討伐、撃退のどちらでも結果は変わらないということを聞いた。
また、過去にたった一人でナマズに立ち向かったという人間の話では、髭を切断されてもナマズは逃げなかったという。
こうしてギルドFarginは、第二層へ進む許可を元老院からもらったのだった。
[報告]
●モンスター
湿地にひしめく者
魔魚ナルメル
●アイテム
こじ開ける刺針
星空の蓑
群青のトサカ
魔魚の電気髭
葉銅鉱
time stamp：2010/04/10 13:49:38
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